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ノンマルト通信Express

フリーランスで自由自治

チキンカツ定食で栄養補給

街探訪

東上線上福岡駅は、昔からの飲食店が連なる赤ちょうちんの町だ。焼き鳥屋やカラオケスナックの看板をあちこちで見掛ける。

毎年8月に行われる七夕祭りは大層人が集まり、沿線ではちょっとした呼び物で知られる。狭い通りにはくたびれた店構えも目にするが、気取らずに出歩ける懐かしい街並みだと思う。

駅北口近くにあるトンカツ店『とん沢』で、今夜は腹ごしらえした。いかにも地元に馴染んだ個人経営の店で、テーブルやカウンターもほどよく埋まっている。場所柄、居酒屋の需要も兼ねている様で、定食は取らずにアルコールとおつまみの客もチラホラいた。

厨房内で店主がテキパキと働き、常連客が「マスターお代わり」と空のグラスを掲げる。チェーンの飲食店と違って、地元密着の自営業は人間の密度が高い。

店頭の看板には8種類の定食が掲示されていたが、値段は一律680円。僕がオーダーしたのはチキンカツ定食。

大皿にたっぷりとキャベツが盛られて、さくさくの衣に肉厚のチキンカツが4枚のっている。どんぶりご飯に豚汁とお新香が付き、ボリューム満点のチキンカツ定食である。

僕には豪華な晩飯だ。隣席の客連れの会話やテレビの音を聞き流しながら、料理と向き合ってひたすら食べ続けた。

僕の胃袋には多過ぎる量だが、普段不足しがちな栄養を補うつもりで、肉を噛みしめ豚汁で流し込んだ。こんなに満腹感を味わえる定食が680円、良心的な値段である。

僕はトンカツよりチキンカツの方が好きだ。チキンカツ定食を提供する店が少ないので、評判を聞くとちょっと遠くても食べに行きたくなる。

普段は節約しながら生活しているが、あまり縮こまっていると息が詰まりそうになる。人間には気晴らしが必要だ。たまに街中で食べる定食は、僕にとってささやかな贅沢である。

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