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ノンマルト通信Express

フリーランスで自由自治

初雁公園は僕の止まり木

街探訪

川越をぶらっと歩きたくなった。駅方面の繁華街で用事を済ます時は、丸広の駐車場を利用する機会が多い。

1000円以上の買い物をすれば、駐車料金が2時間無料になる。食事や買い物が目的であれば、2時間あれば足りる。

連雀町の北側に位置する旧市街地を散策する場合は、丸広の駐車場からは距離がある。また、2時間ではせわしなく、ぶらつき回る余裕がない。

時間無制限で小江戸の面影を味わいたい時には、初雁公園の無料駐車場が僕の止まり木になる。

初雁球場がある公園一帯は、かつての川越城の敷地内に位置する。現在も、本丸御殿が駐車場と向き合うように建っているが、平屋で天守閣はない。

はじめて目にする人は、お寺か昔の学校をイメージするだろう。子供の頃からこの界隈は度々遊びに来ていたが、まさかお城の跡地と知ったのは、大人になってからだった。

RCサクセションの代表曲に『スローバラード』がある。カップルが市営グランドの駐車場で車中泊する歌詞であり、この曲を聴いて僕は初雁公園を真っ先に思い浮かべた。

今は夜間施錠されているが、以前は24時間出入り自由だった。ここなら、車の中で一晩明かすことが出来る気がした。

近くに焼きそばが名物の売店があり、今も昔も子供達の溜まり場になっている。僕が子供の頃は、駐車場の敷地内に機関車が展示保存されていた。

いつだったか、売店のおばさんに機関車の行方を訊ね処、東武動物公園のある町へ引き取られたらしい、との事だった。どうやら、宮代町の役場施設で現在も活用されているようだ。

初雁公園に車を止めて、しばし車内で休憩する人も多い。外回りの営業車もよく目にする。特に用がなくても、初雁公園に行って休みたくなる時が、僕にもある。

野球場を背に駐車して、夕陽を浴びながら目を瞑っていると、しばし雑事が忘れられる。人には何もしないでいる時間が必要なのだろう。

初雁公園を拠点に川越を散策するのもいい。公園の中で、じっと過ごしていてもいい。街中には、誰もが立ち寄れる憩いの場が必要だ。ちょっとした止まり木が、人の心に休息を与えてくれる。

天は小鳥の面倒も見ているそうだ。ましてや、人間を見放すことはないと云う。宗教者の言葉を普段の生活で実感することは難しい。

ただ、叡智あるはずの人間が、動物よりも過酷な人生を押し付けあい、互いに苦しんでいる様は情けない。苦しい時には、心の止まり木を素直に求めよう。人生、時には逃げることも生きる知恵である。

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