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ノンマルト通信Express

フリーランスで自由自治

2017年 大宮初出勤

街探訪

一日中部屋でボーっと過ごしているつもりだったが、体がなまって眠れそうにない。どこへ行く宛もないので、とりあえず大宮に行くことにした。正月二日目、大宮初出勤である。

夜の9時過ぎに車を走らせると、いつもより闇が濃い。交通量も少なく、世間はまだ正月休みの様だ。

大宮のネオンも幾分寂しげに感じた。普段は通勤人の往来で、夜遅くまで街路は賑わっているが、さすがに今晩は静かで人影が少ない。

それでも駅近辺は、そこそこの活気を呈している。初詣の帰りか、若者のグループが多かった。腹ごしらえをしようと南銀を歩けば、こちらは土曜の晩と変わらない賑わい。正月早々、呼び込み連中が道々で声をかけてくる。

何かと物騒な面もある夜の大宮だが、僕は今のところトラブルに遇った事はない。ラフな格好の一人歩きが相手では、奴等も金目の持ち合わせを期待できないだろう。

酒と女を求めて夜の街を彷徨えば、わざわざ自分から網に掛かりに行く様なものだ。視線を合わせずに、黙々と歩き続ける要領が南銀を通る心得である。

幸か不幸か、僕の財布は軽い。初手から欲をかく余裕がないので、ワンコインで済む外食しか行動目的に組み込まれない。

持たざる者にも恩恵はある。街の喧騒をBGMにしながら、ふらっと外食店に寄り空腹を満たす。これが僕の贅沢な時間である。

お金の遣り繰りには、今でも胸がヤキモキする。それでも、誰にも縛られない精神の自由こそが僕の宝なのだ。僕がどこへ行こうと何をしようと、誰も関知しない。自分一人で一日を総括できる。このシンプルさが好きだ。

売れないフリーランスの僕に命令する者はなく、仕事納めや仕事始めの流儀もない。

世間という鎖から完全に抜け出すことは出来ないが、自分から鎖を首に巻く様な愚かな真似はしたくない。束縛されることで、地位や生活の糧を得られると人々は安心するかもしれない。しかし、人や物はいつか過ぎ去っていく。

今晩今年の幕開けも、肉丼で景気を付けた。一人歩きの客人を、大宮のネオンが伴奏してくれる。一人は寂しくて気楽だ。一人は弱くて自由だ。

僕は幻灯機の裏側を、チラッと見た様な気がするのだ。本当は、最初から最後まで一人芝居だったのかもしれない。

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